2025.7.6

ステンレスの加工

ステンレスの加工

難削材の対応
嫌がる会社の多いステンレス加工

弊社では、ステンレス製の部品加工についても多くのご依頼をいただいています。たとえば、機械が使用される環境により錆の懸念から鉄材料が使えないケースや、食品関連設備など衛生面を重視する用途ではステンレス仕様が必須とされることも少なくありません。

ステンレス鋼は耐食性・耐熱性に優れた素材として重宝される一方で、加工現場では“難削材”として敬遠されがちな存在です。切削抵抗が高く、加工中の発熱も大きいため、工具の摩耗が激しく、寸法精度や表面仕上げを安定して保つには高度な工夫と経験が求められます。

また、展延性が高いため切子がつながりやすく、ネジ穴加工や深穴加工でトラブルが発生しやすいのも、加工者にとっての難しさのひとつです。

ステンレスの加工の工夫と工程

写真は、産業機械向けのダイスボックスという品目のステンレス部品です。材質はSUS304で、錆びにくさが求められる用途で使用されたようです。形状は多段異形状で、ネジ穴加工、小径の深穴加工が含まれています。

しっかりとした形状が作り出せる加工プログラムが必要不可欠

6面フライス加工済みブロックから削りだしつつ多段になっているため、適切な工程設計と干渉を避けつつしっかりとした形状が作り出せる加工プログラムの製作が必要不可欠になってきます。

多くの部分が削り落とされ切子となります。
それに伴い加工熱もでるため、加工中肉がなくなっていくと同時に材料が歪んできます。
仕上げ工程のタイミング、穴加工する際の順序など工夫をしています。

単純な形状ではなく加工バリも粘っこいので手仕上げであるバリ取り工程も一苦労です。なのできるだけ機械加工の段階で面取りを入れ見た目品質の向上も狙っています。

ステンレス加工を嫌がらない理由
〜難削材への挑戦と蓄積〜

敬遠されがちなステンレスの加工

ステンレスの加工は難易度が高く、トラブルも多くなりがちな素材です。実際、ネジが折れる、工具が持たない、形状が歪むといった問題が発生しやすく、「できればやりたくない」と考える加工業者が多いのも事実です。

どうすればうまく加工できるのか?
考えることが会社と個人を成長させていく。

ステンレスに限らず、アルミ、銅、樹脂、チタンなど、材質ごとに求められる技術や注意点は異なります。どんな材料でもまずは「どうすればうまく加工できるか?」を考える。その姿勢を持ち続けることで、技術者として金属加工の会社としての成長にもつながります。

また、様々な材質・形状に取り組むことで、社員一人ひとりが技術と知識を深め、日々の業務にもやりがいと誇りを持てる環境づくりにもつながっていくと考えています。

その素材の特性を読み取り、最適なアプローチで形にする

「ただ削る」のではなく、「その素材の特性を読み取り、最適なアプローチで形にする」。
そんなものづくりの楽しさを、これからも追い求めていきたいと考えています。